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廃炉環境国際共同研究センター; 日本分析センター*
JAEA-Review 2023-022, 93 Pages, 2023/12
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和4年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という。)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究および人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、令和2年度に採択された研究課題のうち、「、、X線同時解析による迅速・高感度放射性核種分析法の開発」の令和2年度から令和4年度分の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、燃料デブリ・廃棄物中放射性核種の迅速分析の実現を目指し、多重線検出法などの最新計測システムを整備し、スペクトル定量法(Spectral Determination Method:以下、「SDM法」という。)を開発する。令和4年度の研究においては、令和3年度に引き続き、LSC、シングルスGe、2Dスペクトル(多重)の測定データを統一的に扱うコードを開発するとともに、40核種のそれぞれの測定におけるスペクトルデータを実測およびシミュレーション計算により求め、統合データベースを整備した。粗化学分離法については、最終的に7分離法-12ステップを経由し、10個のフラクションとすることで、39核種の定量が可能であることがわかった。SDM法はスペクトル分析一般に適用できるため、今後広い分野への応用が期待される。また、SDM法の高精度化のため、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた複数核種の核種識別法を本研究で対象とする全核種について対応を行った。
廃炉環境国際共同研究センター; 日本分析センター*
JAEA-Review 2022-037, 118 Pages, 2023/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和3年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等を始めとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和2年度に採択された「、、X線同時解析による迅速・高感度放射性核種分析法の開発」の令和3年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、燃料デブリ・廃棄物中放射性核種の迅速分析の実現を目指し、多重線検出法などの最新計測システムを整備し、スペクトル定量法(Spectral Determination Method: 以下、「SDM法」という)を開発する。令和3年度の研究においては、令和2年度に引き続き、線測定装置を整備し、Ge検出器、CeBr検出器、NaI検出器からなる各計測システムを完成させた。また、高速データ収集システムを整備し、1次元及び同時計数データ取得を可能にした。SDM法開発においては、標準線源を測定およびシミュレーション計算を活用し、線シングルス、多重線測定、線スペクトルの標準スペクトルを生成し、全40核種のスペクトルデータベースを整備した。また、(+X)線、線、多重線スペクトルを統合解析するSDM法(SDM-BG法及びSDM-BGG法)を開発した。SDM法の高精度化のため、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて、複数核種(Co-60、Cs-134、Cs-137、Eu-152等7核種)の核種識別が可能な機械学習モデルを構築した。
冠城 雅晃; 島添 健次*; 寺阪 祐太; 富田 英生*; 吉橋 幸子*; 山崎 淳*; 瓜谷 章*; 高橋 浩之*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1046, p.167636_1 - 167636_8, 2023/01
被引用回数:3 パーセンタイル:90.12(Instruments & Instrumentation)波形分別手法を実施せず、強い線場において熱中性子検出器をするための無機シンチレーターの厚さと性質の制御に焦点を当てた。測定では、0.5mmならびに1.0mm厚のGS20(Liガラス)ならびにLiCaAlF結晶(LiCAF:Ce)を採用し、上記のシンチレーターを結合させた光電子増倍管からのパルス信号を1Gspsのデジタル信号処理に入力し、360ns間の波形面積を積分した。Coの線場において、0.5mm厚のGS20では0.919Gy/hまで中性子検出器が可能であった。一方で、0.5mm厚のLiCAF:Ceは、0.473Gy/hまで中性子検出が可能であったが、0.709Gy/hで中性子検出器が不可能であり、中性子/線分別において、GS20は、より良いエネルギー分解能と高中性子検出効率により、LiCAF:Ceよりも優れている結果であった。
松村 太伊知; 奥村 啓介; 藤田 学*; 坂本 雅洋; 寺島 顕一; Riyana, E. S.
Radiation Physics and Chemistry, 199, p.110298_1 - 110298_8, 2022/10
被引用回数:1 パーセンタイル:31.61(Chemistry, Physical)The characterization of bremsstrahlung and -rays from fuel debris differs from that of spent fuels evaluated to date, due to factors such as material composition and release of volatile fission products. In this work, in order to clarify the conditions under which the effect of bremsstrahlung compared to the total photons (bremsstrahlung and -rays) in fuel debris is maximized, the average energies and dose rates from the energy spectra of bremsstrahlung and -rays on the fuel debris surface were obtained using a Monte Carlo simulation. In the simulation, the average energies and dose rates were evaluated with consideration of the composition, size, fission product release, and retrieval time of the fuel debris. The simulation showed that the composition with the largest amount of change to the average total photons energy caused by bremsstrahlung was the molten fuel debris, and the composition with the maximum fraction of bremsstrahlung in the dose rate was the UO. The maximum value of the fraction of bremsstrahlung in the dose rate was evaluated to be about 17%. This work is expected to contribute to the prediction of the radiation characteristics of the fuel debris that will be retrieved from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station in the near future.
冠城 雅晃; 島添 健次*; 加藤 昌弘*; 黒澤 忠弘*; 高橋 浩之*
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(8), p.983 - 992, 2022/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)Passive -ray spectroscopy is a useful technique for surveying the radioactive wastes and spent nuclear fuels under nuclear decommissioning. However, this method depends on material properties such as the activity, density, element, scale, and (especially) low-energy rays from U and Pu. The -decay lines of Cs, Cs, Co, and Eu occur at greater energies (than those of U and Pu), and these nuclides provide significant information on spent nuclear fuel and radioactive wastes. A CeBr spectrometer with a small-volume crystal has been previously developed for use in intense radiation measurements. We exposed the spectrometer to radiation dose rates of 0.025, 0.151, 0.342, 0.700, and 0.954 Sv/h under a standard Cs radiation field. A 6.38 MBq Co calibration source was placed in front of the detector surface. Identification of the full energy peak at 1173 keV was impossible at dose rates higher than 0.700 Sv/h. However, subtraction of the Cs radiation spectra from the -ray spectra enabled the identification of the full energy peaks at 1173 and 1333 keV at dose rates of up to 0.954 Sv/h; the relative energy resolution at 1173 and 1333 keV was only slightly degraded at this dose rate.
廃炉環境国際共同研究センター; 日本分析センター*
JAEA-Review 2021-060, 105 Pages, 2022/03
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)では、令和2年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、令和2年度に採択された「、、X線同時解析による迅速・高感度放射性核種分析法の開発」の令和2年度の研究成果について取りまとめたものである。本研究は、燃料デブリ・廃棄物中放射性核種の迅速分析の実現を目指し、多重線検出法などの最新計測システムを整備し、これを用いた測定、また放射線シミュレーション計算により線、X線を含む核種毎のスペクトルデータベースを構築し、これらを統合解析するスペクトル定量解読法(Spectral Determination Method: SDM法)を開発することにより、多核種同時定量を可能にし、化学分離プロセスを軽減することを目的とする。
冠城 雅晃; 島添 健次*; 加藤 昌弘*; 黒澤 忠弘*; 鎌田 圭*; Kim, K. J.*; 吉野 将生*; 庄司 育宏*; 吉川 彰*; 高橋 浩之*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1010, p.165544_1 - 165544_9, 2021/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Instruments & Instrumentation)2011年の東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の事故以来、世界各地で廃止措置措置に入る原子力施設が増加している。これらの原子力施設では、放射性物質の適切な管理が要求されている。そこで、ガンマ線スペクトル測定技術は、放射性物質の重要な情報を得ることができるため、有益なツールである。さらに、放射性物質の空間情報も重要であるため、ガンマ線イメージングについて求められている。しかしながら、これらの施設には、強度放射線場が広がるため、ガンマ線スペクトル測定やガンマ線イメージングが困難になる。そのため、寸法が5mm 5mm 5mmの小さなCeBrシンチレーター4個で分割した線スペクトロメーターを開発した。上記の4個のシンチレーターは、強度放射場に特化したマルチアノード光電子増倍管と組合わせた。私たちは、CsとCoの放射線場で照射試験を実施した。Cs照射場の線量率1375mSv/hにおいて、相対エネルギー分解能が、それぞれのチャンネルで、9.20.05%, 8.00.08%, 8.00.03%, 9.0 0.04%であった。
冠城 雅晃; 島添 健次*; 加藤 昌弘*; 黒澤 忠弘*; 鎌田 圭*; Kim, K. J.*; 吉野 将生*; 庄司 育宏*; 吉川 彰*; 高橋 浩之*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 988, p.164900_1 - 164900_8, 2021/02
被引用回数:11 パーセンタイル:89.29(Instruments & Instrumentation)近年、2011年の東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所事故より、世界各地で、廃止措置になる原子力施設が増加している。一方、原子力施設の廃止措置工程においては、放射性廃棄物や使用済み核燃料を適切な管理下で回収しなければならないため。そこで、本研究は、高線量率下でのガンマ線スペクトロメトリを実現するため、5mm5mm5mmの微小CeBrスペクトロメーターを構築した。さらに、(1)毎秒ギガサンプリング率のデジタル信号処理、(2)後段3段ダイノード電圧印加機能付光電子増倍管により、1Sv/hを超える線量率でのガンマ線スペクトル測定に成功した。Cs放射線場で、662keVのエネルギー分解能(半値幅)が、22mSv/hで4.4%であり、それが1407mSv/hでは5.2%である。対して、Co放射線場では、1333keVのエネルギー分解能(半値幅)が、26mSv/hで3.1%であり、それが2221mSv/hでは4.2%である。これらは、Cs, Cs, Co, Euのガンマ線を分解できる要求を満たており、同時に1Sv/h以上で上記核種のガンマ線分析が可能なことを示唆するものである。
Rodriguez, D.; Rossi, F.; 高橋 時音; 瀬谷 道夫; 小泉 光生
Applied Radiation and Isotopes, 148, p.114 - 125, 2019/06
被引用回数:5 パーセンタイル:48.99(Chemistry, Inorganic & Nuclear)Delayed gamma-ray spectroscopy is an active-NDA technique used to determine the composition of HRNM samples by peak-ratio comparison of GRs above 3-MeV from the short-lived fission products. Filtering out the passive GRs from long-lived FPs reduces the DGS signal, so thermal neutrons are used to induce more fission events from fissile nuclides. We are developing a compact system to moderate 2-MeV neutrons that are easier to moderate than 14-MeV neutrons from DT generators. This work describes the ideal moderator optimization for a Cf source that results in cm passing through the sample space with 70% of those below 1-eV. Practical modifications resulted in 20% reductions compared to the optimized design. Evaluations of DGS signals and backgrounds conclude that only a 21-MBq Cf source is required.
萩原 開人*; 矢野 孝臣*; Das, P. K.*; Lorenz, S.*; 王 岩*; 作田 誠*; 木村 敦; 中村 詔司; 岩本 信之; 原田 秀郎; et al.
Progress of Theoretical and Experimental Physics (Internet), 2019(2), p.023D01_1 - 023D01_26, 2019/02
被引用回数:32 パーセンタイル:87.41(Physics, Multidisciplinary)We have measured the -ray energy spectrum from the thermal neutron capture, , on an enriched Gd target () in the energy range from 0.11 MeV up to about 8 MeV. The target was placed inside the germanium spectrometer of the ANNRI detector at J-PARC and exposed to a neutron beam from the Japan Spallation Neutron Source (JSNS). Radioactive sources (Co, Cs, and Eu) and the reaction were used to determine the spectrometer's detection efficiency for rays at energies from 0.3 to 8.5 MeV. Using a Geant4-based Monte Carlo simulation of the detector and based on our data, we have developed a model to describe the -ray spectrum from the thermal reaction. While we include the strength information of 15 prominent peaks above 5 MeV and associated peaks below 1.6 MeV from our data directly into the model, we rely on the theoretical inputs of nuclear level density and the photon strength function of Gd to describe the continuum -ray spectrum from the reaction. The results of the comparison between the observed -ray spectra from the reaction and the model are reported in detail.
佐野 雄一; 安倍 弘; 竹内 正行; 飯嶋 静香; 内田 直樹
Journal of Nuclear Materials, 493, p.200 - 206, 2017/09
被引用回数:7 パーセンタイル:56.89(Materials Science, Multidisciplinary)福島第一原子力発電所事故に関連し、再処理に用いられる機器の代表的な材料であるSUS316Lについて、海水成分を含むHNO溶液中の腐食挙動に及ぼす塩化物イオンの影響を、線照射条件下を含め、調査した。HNOと人工海水(ASW)の混合物を用いて電気化学試験及び浸漬試験を実施し、高濃度のASWを含むHNO溶液では、カソード電流密度が増加し、均一な腐食が進行することを確認した。これは、HNOとClイオンとの反応で生成されるClやNOCl等の強い酸化剤によって引き起こされたものと考えられる。腐食速度は、HNO濃度が低い条件では浸漬時間とともに減少し、高い条件では増加した。線照射条件下では、上記酸化剤と放射線分解により生成したHNOとの反応によるカソード反応の抑制により腐食速度が低下した。
本岡 隆文; 塚田 隆
Proceedings of 2014 Nuclear Plant Chemistry Conference (NPC 2014) (USB Flash Drive), 9 Pages, 2014/10
福島第一原子力発電所(1F)では、2011年3月に海水が使用済燃料プールに注入された。ジルカロイ-2は1Fで燃料被覆管材として採用されているが、ジルカロイ-2を含むジルコニウム合金は、酸化性の塩化物水溶液で孔食の影響を受けやすい。本研究では、海水成分を含む水の放射線分解生成物が、ジルカロイ-2の孔食生起に及ぼす影響を調査した。線照射の前後に、海水成分を含有する水の組成変化を分析した。また、ジルカロイ-2の孔食電位測定を実施した。さらに、ジルカロイ-2表面に形成された酸化膜の特性をX線光電子分光法により評価した。海水成分を含む水の溶液分析では、線照射での過酸化水素の発生が示された。線照射下で皮膜形成したジルカロイ-2の孔食電位は非照射下のそれより高かった。ジルカロイ-2の酸化皮膜は酸化ジルコニウムであり、これは線照射中に厚くなることがわかった。線照射下で生成した皮膜を有するジルカロイ-2の孔食電位が高くなった原因は線照射下で酸化皮膜形成が進行することで説明された。
出崎 亮; 森下 憲雄; 伊藤 久義; 神谷 富裕; 中本 建志*; 木村 誠宏*; 槙田 康博*; 荻津 透*; 大畠 洋克*; 山本 明*
AIP Conference Proceedings 824, p.330 - 334, 2006/03
ポリイミドやガラス繊維強化プラスティック(GFRP)は大強度陽子加速器施設(J-PARC)のニュートリノビームラインにおける超伝導磁石の電気絶縁材や構造材として使用される。これらの有機材料は4Kの極低温、かつ30kGy/yearの高放射線場において電気的・機械的特性を維持しなければならないため、その耐放射線性を評価することが不可欠である。本研究では、これらの有機材料の耐放射線性評価の一環として、液体窒素温度での線照射によって有機材料から発生するガスを分析した。その結果、発生ガスの主成分は水素であり、ニュートリノビームラインの超伝導磁石システム全体における水素発生量は0.37mol/yearであることを明らかにした。このことから、有機材料から発生するガスが超伝導磁石の冷媒である超臨界ヘリウムの精製機に及ぼす影響はほとんど無視できるとの結論を得た。
中本 建志*; 出崎 亮; 森下 憲雄; 伊藤 久義; 神谷 富裕; 木村 誠宏*; 槙田 康博*; 荻津 透*; 大畠 洋克*; 山本 明*
AIP Conference Proceedings 824, p.225 - 232, 2006/03
J-PARCニュートリノビームラインにおける超伝導磁石用有機材料について、機械特性の観点から耐放射線性を評価した。液体窒素温度まで冷却した試料に線を10MGyまで照射し、ガラス繊維強化プラスティック(GFRP)については曲げ試験、ポリイミドフィルムについては引き裂き試験、接着性フィルムについては引張り剪断試験を行った。その結果、これらの有機材料は十分な耐放射線性を有しており、10年間運転後でも機械特性の劣化はほとんど無視できると結論を得た。
曽野 浩樹; 大野 秋男*; 小嶋 拓治; 高橋 史明; 山根 義宏*
Journal of Nuclear Science and Technology, 43(3), p.276 - 284, 2006/03
被引用回数:1 パーセンタイル:9.98(Nuclear Science & Technology)臨界事故時個人線量計測法の実用化に向け、体表及び体内被ばく線量推定法の妥当性評価を、TRACY施設における臨界事故模擬実験及び計算機シミュレーションに基づき行った。模擬実験では、人体模型に装着したアラニン線量計及びホウ酸リチウム熱蛍光線量計により、人体筋肉に対する中性子及び線吸収線量を弁別して計測した。計算機シミュレーションでは、中性子,即発線及び遅発線による線量成分を考慮したモンテカルロ計算を行った。人体模型内線量分布の計算値と実験値との比較により、計算機シミュレーションの妥当性を検認するとともに、アラニン線量計及びホウ酸リチウム熱蛍光線量計による個人線量計測法が十分な精度でもって被ばく線量の初期推定値を提供できることを確認した。
堤 正博; 谷村 嘉彦
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 557(2), p.554 - 560, 2006/02
被引用回数:14 パーセンタイル:68.12(Instruments & Instrumentation)環境線の線量率測定及びスペクトル測定への新しいLaCl(Ce)シンチレータの適用性について評価した。このシンチレータは、良好なエネルギー分解能及び速い減衰時間を持つため、特に高計数率場の線スペクトル測定に適している。本報告では、25.4mm25.4mmのLaCl(Ce)シンチレータの特性試験を行い、同サイズのNaI(Tl)シンチレータと比較した。得られたパルス波高スペクトルはG(E)関数により線量換算した。LaCl(Ce)は、結晶自身にある程度のバックグラウンド放射能を有するものの、そのバックグラウンドの寄与を差し引くことで低レベルから数mGy/hの高線量率に渡る線のスペクトル測定及び線量率測定が可能であることがわかった。平常時はもとより緊急時のモニタリングにとって有望なシンチレータである。
田口 光正; 小嶋 拓治
JAEA-Review 2005-001, TIARA Annual Report 2004, p.181 - 182, 2006/01
MeV/n級のC及びNeイオンを照射したフェノール水溶液におけるOHラジカル生成の微分G値を、水中で連続的に減弱するイオンエネルギーを関数とした答えを求めることによりトラック内の反応の解析を行った。今回は、OHラジカルの捕捉剤であるフェノールの濃度を変えることで、OHラジカル収率の経過時間依存性をイオンエネルギー依存性とともに検討した。この結果、イオンエネルギーあたりのG値である微分G値は、水中におけるNeイオンの比エネルギーとともに大きくなることがわかった。また、平均反応時間をそれぞれ1.5, 2.5及び15nsと変えた場合、微分G値は、イオン照射直後(1.5ns)では比較的大きな値を示したが、時間経過に伴い小さくなりCo -線で得られたG値(2.7)に近づいた。この結果は、水中に局所的に生成したOHラジカルの拡散挙動を示唆している。
木村 敦; 田口 光正; 大谷 仁己*; 瀧上 眞知子; 島田 好孝*; 小嶋 拓治; 平塚 浩士*; 南波 秀樹
Radiation Physics and Chemistry, 75(1), p.61 - 69, 2006/01
被引用回数:13 パーセンタイル:65.83(Chemistry, Physical)Co線照射により、水中濃度1mol dmの水中-ノニルフェノール(NPs)は吸収線量が高くなるに従い指数関数的に減少した。OH付加体と推定される分子量236を有する2つの分解生成物が、LC-MS分析により検出された。5000Gy(J kg)におけるNPsとその照射生成物のエストロジェン活性の消失を、イーストツーハイブリッド法により確認した。これらの結果はNPs処理の放射線利用の基礎データを提供するものである。
箱田 照幸; 小嶋 拓治
Radiation Physics and Chemistry, 74(5), p.302 - 309, 2005/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Physical)内面積に対する体積比(S/V)が異なる照射容器中にクロロエチレンを含む空気を封入し、異なる線量率で電子ビーム及び線照射を行い、クロロエチレンの連鎖分解反応やその停止反応を調べた。その結果、線量率が高い電子ビーム照射の場合には、アルキル過酸化ラジカル同士の反応のみが連鎖停止反応として生じていることがわかった。これに対して、線量率が低い線照射、あるいは大きなS/V値を有する照射容器を用いた場合には、連鎖停止反応としてアルキル化酸化ラジカル同士の反応に加えて、このラジカルの照射容器壁への付着による反応も寄与していることが明らかとなった。
西谷 健夫; 杉江 達夫; 森下 憲雄; 横尾 典子*
Fusion Engineering and Design, 74(1-4), p.871 - 874, 2005/11
被引用回数:13 パーセンタイル:65.42(Nuclear Science & Technology)ITERの分光計測用の窓材としては2種類のロシア製溶融石英、KU-1とKS-4Vが候補になっている。KU-1はOH基を約800ppm添加することにより耐放射線性を高めており、逆にKS-4Vは不純物を極力少なくすることにより耐放射線性を高めている。ITERにおける窓の取付け位置の線量は数MGyであり、そのような線量領域の照射効果の温度依存性のデータはほとんどなかった。そこで、原研高崎研究所のCo-60線照射施設を用い、KU-1とKS-4Vの透過率変化を室温,100,200,300Cの4点において、10MGyの線量まで測定した。試料寸法は16mm8mmである。1902500nmの波長域で測定したが、400nm以上では有意な変化は見られなかった。KS-4Vでは100C以上においてほとんど温度依存性がみられないが、215nmにおいても70%近い透過率を保っている。これに対し、KU-1では温度依存性が大きく、高温ほど透過損失が小さいが、室温200Cでは215nmにおいて1%以下に減衰している。以上のことからITERの分光計測用窓材としてはKS-4Vが優れており、100C程度で加熱して使用すれば、さらに透過損失の増加を抑制できることがわかった。